521 RC過渡特性測定 参考実験
本実験では$ Rと$ Cだけで構成された回路の過渡応答特性を観測する.
☆☆ 注意 ☆☆
この実験を参考にするなら,なんのためにやるのかを明確に.
この章で提示されている実験をやっただけで,本テーマがクリアできるわけではない.
https://gyazo.com/f94d1175e137b395f9352ba78230fe0b
図511.1RC回路の過渡応答特性測定回路
■主題:
$ RC回路に方形波を印加し,急峻な電圧変化に対する過渡応答反応を観測する.
過渡応答特性の特徴量である時定数$ \tauを測定する.
■測定条件:
※以下の条件値はあくまでも参考値.なぜこの値なのか要検討.
入力信号:
波形:方形波( duty比50%の矩形波.信号発生器ではSQUARE,)
周波数$ f=5.0kHz
印加電圧$ E_o=v_1=v_2=1.0 ~ 5.0 V_{p-p}
※印加電圧は大きい方が,測定精度はよくなるはず → なぜか考えよ
※オシロスコープで目標印加電圧ちょうどになるよう,信号発生器の電圧を調整
回路素子の値:
抵抗$ R=10 k \Omegaコンデンサ$ C=1000pF
$ Z整合抵抗: (シャシ側面のコネクタ)
(並列抵抗)=51$ \Omega
(直列抵抗)=0$ \Omega=直結(ジャンパ線)
■測定すべき値:
出力電圧$ v_2の時間的変化(相対0秒~$ \tau少し過ぎまで).
表示は相対電位. ← 軸線の設定に注意.
詳細図は必須.
時間があれば全体図も提示.
■準備(A):実験系の構築・測定機の準備
準備(A-1)オシロスコープの校正をする.
※校正(caribration)については,以下を参照
準備(A-2)ファンクションジェネレータ(任意信号発生器)の学習をする.
ファンクションジェネレータ(以降FG)は,オシロスコープ2000X内蔵のものを利用する.
波形,周波数,振幅等を操作する.
★印加電圧は班で話し合って測定精度のよいように決定せよ.
※各機種の取扱説明書および実験書共通編 4.5節「信号発生器の準備」(p.14)参照.
※信号発生器の表示はあくまでも出力値.測定値はすべてオシロスコープで読み取る.
準備(A-3)LCRメータのチェックを行う.
抵抗の各レンジでは,かならず$ 0 \Omegaアジャストが必要.
※これは計測の基本だ.← なぜか?
■準備(B):RC実験回路の構成
準備(B-1) 図511.1 に示した回路をアルミケース上に作成する.
シャシ側面には$ Z(インピーダンス)整合用端子が直列と並列の2箇所ある.
直列端子はジャンパ線で直結し,並列端子にはZ整合抵抗51$ \Omegaを入れる.
抵抗器の値は素子本体のカラーコードを読む.
※実験書共通編「(5)付録:早見表」各種早見表(p.3)を参照
※実験書共通編「(3)実験の基礎知識その1」3.1節「受動素子」(p.17)に詳細説明
準備(B-2) 信号発生器の信号出力と実験回路の入力端子を同軸ケーブルで接続する.
準備(B-3) オシロスコープのプロープを実験用シャシ上の端子に接続する.
チャネル1 → $ v_1端子
チャネル2 → $ v_2端子
準備(B-4) 2つの波形のGNDを合わせて同時観測する.
【実習課題511】(過渡応答の観測)
オシロスコープに示された波形を観測する.
まず最初の時定数$ \tau_{(a)}を見つけよう.
手順(1)$ R(公称10$ k\Omega)の値をテスタで測定し,これを$ R_{(a)}とする.
手順(2)全体波形を観察する.
$ v_2の波の半周期分をここでは全体波形と呼ぼう.
※波形は「立下り」「立上がり」どちらでも構わない
$ E_oの値をオシロの値で目標印加電圧$ 1.0~5.0Vになるよう,信号発生器を調整し,全体波形を観察する.
手順(3) $ v_2が$ E_oに等しくなる時間$ t_oを測定する.
※この値は他に利用はしないが特徴量の一つとして捉えておく
手順(4)電圧$ v_2が最終値$ E_0の63.2%に達する時刻を測定し,$ \tau_{(a)}とする.
※精度を考慮して適切に拡大する
手順(5)全体波形に対して$ \tau_{(a)}がよくわかるようにグラフを描く.
立ち上がり/立下り始めを原点(0,0)とする.
← つまり時間も電圧も相対値でグラフ化する
原点から$ \tauより少し後まで必要かつ十分なデータを取り,拡大波形として描く.
$ E_0には届かないが点線などを引いておく.図2.2に概念図を示しておく.
※実際には数値・目盛等をきちんと書く
以上の手順で$ CR回路の過渡曲線において時定数$ \tauを含んだ詳細な様子が示せる.
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図511.2 CR過渡現象の拡大
【検討課題511】(時定数とCR比較)
(A) $ Cと$ Rの公称値の積から時定数の理論値$ \tau_{(b)}を算出する.
(B) 準備で測定した$ R_{(a)}と測定した値$ \tau_{(a)}を用いて,式$ \tau = CRよりキャパシタンスを算出し,これを$ C_{(a)}とする.この$ C_{(a)}と$ Cの公称値との差を示せ.
※この値$ C_{(a)}は別実験で使う
(C) 本実験では$ R=10k\Omega ,C=1000pFの値を使った.この値にするメリットは何か,推測せよ.
また,$ R,Cが他の値だとすると,何が変化し何が不変かを検討せよ.
(D) 印加電圧$ E_0を変化させて,$ \tauが同じである事を確かめよ.また,測定精度が最もよい$ E_0の値を示せ.
※オシロ内蔵のFGの出力電圧はMax $ 5Vである
★参考:
以上.
2024/4/8